「何がセーフか分からない」ウイルス罪で罰金刑を受けた技術者の嘆き

「『何がセーフか分からない』ウイルス罪で罰金刑を受けた技術者の嘆き」『日経XTECH』2019年4月24日

いわゆる「コインハイブ事件」よりも前に、遠隔操作アプリの紹介記事をネットに投稿し、不正指令電磁的記録提供罪で罰金刑を受けたエンジニアへの取材。

コインハイブ事件の場合、コインハイブが「不正指令電磁的記録」に当たるかどうか(つまり、(1)ユーザーの意図に反して、(2)不正な指令を与えるかどうか)が裁判上争点だったのに対して、これは、紹介した遠隔操作アプリが不正指令電磁的記録に当たるかという問題に加えて、(3)コードを示したり、あるいは実物を提示したうえでのセキュリティ情報の紹介が上記の罪に問えるかどうかという論点が加わっている。

かつて『ハッカージャパン』が、アングラ系の雑誌からセキュリティ雑誌に衣替えするきっかけが、不正アクセス禁止法の施行だった。また、同時に、アングラ系のセキュリティウェブサイトが閉鎖したり、明確に警察への協力姿勢を示したりもした(実際に、「ハイテク犯罪」の捜査協力などを行うようになった企業もある)。前者に関しては、アヤシイ文言は並んでいるものの、セキュリティ情報の提供に過ぎなかったわけだが、「見せしめのために摘発されたらいやだ」という考えがあったとも聞いている。

この当時の懸念がいまよみがえっている感じ。