こんなん読んだ(2021年2月)

  • 田代志門(2020)『みんなの研究倫理入門 臨床研究になぜこんな面倒な手続きが必要なのか』医学書院.

3名の登場人物による対話形式の(医科学の)研究倫理入門。対話形式だと、一般的には誰か先生が教えるという形だが、本書は著者の意図として対話の中から倫理が立ち上がるようにしたかったとのこと。倫理審査委員会に異なる立場や背景から参加する登場人物の対話によって、研究倫理やそれを取り巻く状況の複雑さがわかる。

そうした複雑さを十分描きながらも、インフォームドコンセントや、弱者を研究対象とする研究など、医療倫理の理解が難しい問題を非常にクリアに整理しているのが印象的。ニュルンベルク綱領やヘルシンキ宣言、ベルモントレポート、CIOMS倫理指針の背景や、「使い方」がわかるのもよい。

対話形式ってたるいんだよなーと思う人にも役立つと思う。

2月13日読了。