「政府、反撃用ウイルス初保有へ」『共同通信』2019年4月30日

「政府、反撃用ウイルス初保有へ」『共同通信』2019年4月30日

https://jp.reuters.com/article/idJP2019042901001915?fbclid=IwAR02YuGDtv1NI_1rwFlSwRsoqi_yrLX2Sqa-ff5zKowNNXn_Rbfwm8pOUAg

 

一般的に、サイバー攻撃は誰が攻撃したか不明で、本当の敵はだれかわからないままに反撃するのだろうか。確かに自衛・反撃のための攻撃は正戦として正当化可能だし、自衛隊の理念にも合致するかもしれないけど、踏み台に使われただけの国のコンピュータやネットワークに攻撃を加えたら、たいへんなことにならない??

というような話は、下記の本に書いてある。

伊藤寛(2016)『サイバー戦争論原書房

反撃用のコンピュータウィルスというよりも、まずは敵を探知する技術(それと、それを相手国や第三国に示して、反撃を正当であると示すための技術)の確立をというのが上記書籍の見解。もちろんこちらの技術も開発しつつあるんだろうけど。

昨年の応用倫理国際会議で、米海軍研究所の「倫理学者」がサイバー戦における「正戦」について発表していて、サイバー戦における正戦概念は、「敵の探知・トレース」という点で結構難しいはず。どのように運用するつもりか。また、「完成」させて終わりなのか。サイバー兵器は攻撃も防御も急速に発達/変化するから、継続的に研究開発を続ける必要があると思うが。

 

 

齊藤了文(2019)『事故の哲学 ソーシャルアクシデントと技術倫理』講談社メチエ

IoTによってメーカーの仕事がものづくりからサービス化する(メンテナンスが重要になる)とここ数年言われているけど、本書によれば、すでに製造物責任法制定とその発想じたいにものづくりのサービス化の思想があったとのこと。米国での製造物責任法制定背景から丁寧に議論していて勉強になる。

齊藤了文(2019)『事故の哲学 ソーシャルアクシデントと技術倫理』講談社メチエ

いただいた御本、読むのが遅いためなかなか読めないうえ、さらになかなか紹介できず心苦しい限り。本書は、TwitterのTLに話題が流れてきたので書いたツイートのもとを転載。

「何がセーフか分からない」ウイルス罪で罰金刑を受けた技術者の嘆き

「『何がセーフか分からない』ウイルス罪で罰金刑を受けた技術者の嘆き」『日経XTECH』2019年4月24日

いわゆる「コインハイブ事件」よりも前に、遠隔操作アプリの紹介記事をネットに投稿し、不正指令電磁的記録提供罪で罰金刑を受けたエンジニアへの取材。

コインハイブ事件の場合、コインハイブが「不正指令電磁的記録」に当たるかどうか(つまり、(1)ユーザーの意図に反して、(2)不正な指令を与えるかどうか)が裁判上争点だったのに対して、これは、紹介した遠隔操作アプリが不正指令電磁的記録に当たるかという問題に加えて、(3)コードを示したり、あるいは実物を提示したうえでのセキュリティ情報の紹介が上記の罪に問えるかどうかという論点が加わっている。

かつて『ハッカージャパン』が、アングラ系の雑誌からセキュリティ雑誌に衣替えするきっかけが、不正アクセス禁止法の施行だった。また、同時に、アングラ系のセキュリティウェブサイトが閉鎖したり、明確に警察への協力姿勢を示したりもした(実際に、「ハイテク犯罪」の捜査協力などを行うようになった企業もある)。前者に関しては、アヤシイ文言は並んでいるものの、セキュリティ情報の提供に過ぎなかったわけだが、「見せしめのために摘発されたらいやだ」という考えがあったとも聞いている。

この当時の懸念がいまよみがえっている感じ。

「ネットの暗部、技術で克服 ユーチューブCEOが語る責任」(日本経済新聞2019年4月21日記事)

『日本経済新聞』2019年4月21日の記事

YouTubeのCEOスーザン・ウォージスキのインタビュー。

YouTubeの不適切動画(残酷動画、アダルト動画等)の検索・削除のため、ルールを設定。各国の規制を追って、ルールを作成し、昨年(2018年)はルールを30回以上改訂したとのこと。記事では書かれていないが、アクセス端末の場所によって適用されるルールは異なっていると推測。

毎分500時間分の動画がYouTubeには投稿される。この監視は人間とAIの組み合わせで行っているとのこと。昨年はチェック要員を1万人雇ったとのこと。「18年10~12月は800万もの動画を削除し、70%はAIによるものだ。大半は誰も視聴しないうちに削除している」。

上記のルールは公開されるだろうか。アルゴリズムによる「差別」が問題視されるが、コンテンツ規制に関しても、そのルールを誰がどのように決めるかが問題。YouTubeは各国の法や規制を参考にしてルールを決めているとのことだが、ルールの設定と適用が恣意的ではないことを外部に説明する必要はないか。

また、公開されたものが不適切で公開すべきではなかったと、公衆は指摘できるだろうが、削除されたもの・公開されなかったものが本当は公開すべきだったというチェックは、現在のままならば行われないことないことになる。本当にこれでよいか。

AIを含めた先端技術の利活用と立法政策-技術と法の在り方と倫理-

AIを含めた先端技術の利活用と立法政策-技術と法の在り方と倫理-

https://sites.google.com/view/rikenaip-utilizationofaiandlaw/

 

1月にはこれも聞きに行っていたんだけど、これが、例の何度もダウンロードフォルダのファイルを間違っていじって、家に帰ってフォルダのファイルを開けたら直したはずのところが消えていて「おおぉぅ?!」とやって、なかなか完成しなかった報告書。せっかくなので、これも公開。1月末に聞いて3月頭に完成で、約1か月作成にかかっちゃったよ。

理研AI倫理立法政策報告書030619.pdf

大谷が聞いた限りで正確に報告し感想意見等加えました。この報告の文責は大谷にあります。誤りなどありましたらご指摘ください。

 

追記:上記文章が乱れまくっていたので修正。土曜日眠気に耐えながら更新したらひどい文章になっていました。ひどい。オーガナイザー司会の寺田先生には、本記事と報告をお知らせしています。

平成30年度全国消費者フォーラム聴講記

2月26日(火)、アルカディア市ヶ谷で開催された平成30年度全国消費者フォーラムを聴講した。研究費で出張したので復命書を作成したのだが、それに添付した報告書。こちらも役立つ人がいるかもしれないので、公開。どんどん公開。

平成30年度全国消費者フォーラム報告書.pdf

第4回法と情報研究会聴講記

明治大学法学部の夏井高人先生が主催する標記研究会を聴講したので、当日の配布資料とノートから報告メモ。無償公開の研究会とのことで、ご報告の掲載を許していただきました。個別報告者には確認をとっていないので、思わぬ誤りがあるかもしれません。文責は大谷にあります。また、誤りなどを発見された方は教えていただけるとありがたいです。報告メモの日付はこの報告メモをまとめ始めた日の日付です。

 

第4回法と情報研究会聴講記